28週後

28 Weeks Later
観た日 2008-01-23

『28日後・・・』の続編(あるいは姉妹編)である。ロンドンで発生した最強の「レイジ・ウィルス」はまたたく間に全英に拡がっていた。キラー・ウィルス発生当時海外にいて難を逃れた人々が帰国を許され、廃墟となったイギリスにもどってきた。ロンドンではドックランドの一画に隔離された居留地が作られ、生き残ったわずかな人々が軍隊に守られつつ、配給に頼りながら生活していた。スペインにいた姉タミーと弟アンディが帰国し、父ドンと再会を果たす。

さらに死んだと思われていた姉弟の母アリスが生き残っていたことがわかる。彼女は特異体質でウィルスに感染しても発症しなかったのだ。アリスに会うためドンは隔離されている彼女のもとに忍び込んでいく。

ドンは田舎の家に隠れていたところを感染者に襲われ、助けを求める彼女を見捨てて自分だけが逃げ延びた、という後ろめたさがあった。その許しを請い、和解のキスをするのだが・・・キャリアであるアリスの唾液が媒介となって彼はウィルスに感染、あっという間に発症する。このシーンが怖かった。彼はたちまちゾンビと化して、彼女を襲うのだが、彼が感染した、と知りその苦しむ様を見る彼女の表情。わずかに笑っているのだ。それは自分を見捨てて一人逃げた彼に対する復讐ではなかったのか。

沈静化していたレイジ・ウィルスは彼を新たな感染源にあっという間に居留地に拡がり、人々がパニックに陥る中、軍隊は感染者一掃のため全員射殺を実行する。

わずかに生き延びた数人の中に姉と弟がいた。弟が母の遺伝で感染しても発症しない特異体質であることがわかり、ワクチン開発の希望が見えた。彼を無事にイギリスから連れ出し、識者の手に委ねようとする。

******

人間的な葛藤が入り込む余地もないほど、ゲーム感覚で人間が死んでいく。感傷や悲しみに浸る時間もない、その刹那的な、生存願望。その元凶である「RAGE」に警鐘を鳴らす、というのがテーマではあるのだが、それはワキに押しやられ、二番煎じのゾンビ映画になってしまった。「28日後」では設定の斬新さがあったが、今回は救いがなかった。「人類」を描くには規模が小さいし、個人の葛藤を描くにはウィルスのインパクトが強すぎる。

しかし、ロンドン・ロケはまたしてもわくわくした。人気のないありふれた住宅地、ドックランド、爆弾でブッ飛ぶグリニッジ天文台などなど。

それからもう1つ。
ドックランドのキャンプで生き延びた数人の中に「サム」という青年がいた。ひょろっとした金髪の青年。このサムを演じているのがレイモンド・ウォリング Raymond Waring 。鴻上尚史の『ロンドン・デイズ』や『ドン・キホーテのロンドン』に登場するギルドホール音楽演劇学校でのクラスメイトのひとりで、彼の顔をスクリーンに発見したときには思わず「あっ」と声を上げてしまった。自分の知り合いが映画に出ているような、興奮を感じずにはおれなかった。レイモンドのおかげで、この映画の価値が(個人的に)少し上昇したように思う。
(*「ロンコール村出身のレイモンド」については上記鴻上尚史さんの著作参照のこと。)
category : [Films] Screen 2008
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