●魍魎の匣2008 / 02 / 12 ( Tue ) No. 93
観た日 2008-01-02
昭和東京を彷彿とさせる西洋建築が並ぶ上海をロケ地に選び、ノスタルジックな設えを背景に、猟奇殺人の謎を追うという趣向。 最初は謎をあちこちにばらまいていく。少女連続誘拐・バラバラ殺人・匣を祭る奇妙な新興宗教・引退した女優とその娘を巻き込んだ、莫大な遺産をめぐる人間模様。散り散りになった切れ端を集め、不可解な殺人絵巻に当てはめていく。しかし早々に犯人がわかってしまい、ちょっと拍子抜けした。こいつ、怪しいな、と思った人物がそのまま犯人なのだ。猟奇殺人のほうはちょっとショッキングだ。誘拐された少女が瀕死の状態で発見されるのだが。乱歩的、と言おうか。少女=エロス=タナトスの図式が禍々しく残酷だ。 そのバラバラ殺人と、もうひとつ、マッドサイエンティストである博士の謎の研究、という2つのスジがあって、これがやがて1つにつながっていくのだが、この博士の流れがつまらない。戦後すぐ、という設定だから、現在のような実験設備のハイテク・モダンは期待できないが、あまりにもちゃちい。ハイテクを打ち出すよりもむしろ、ローテクで描いたほうが、おどろおどろしさが維持できたように思える。もっと手仕事の、手作業の医療、というか。 乱歩の魔、と陰陽道の摂理・解読のおもしろさがヘタなハイテクで損なわれてしまった。 しかし、京極堂を囲んで友人たちが集い、うな重などをいただきながらあれこれと、うだうだと、会話をつなげる箇所はまったりと楽しかった。ディレッタンティズムと知の遊び、心を許した友人たちとの時間。そんな周辺に妙に惹かれる映画だった。
category : [Films] Screen 2008
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