●グッド・シェパード2007 / 11 / 25 ( Sun ) No. 88
The Good Shepherd
観た日 2007-11-04 よき羊飼いは羊のために自らを犠牲にし羊を守る(ヨハネ福音書第10章)。CIAを作り上げた男エドワード・ウィルソン。彼にとっては「アメリカ」こそ羊であった。「アメリカ」のために私欲を捨て、尽くそうとする理想主義者は、同時に「アメリカ」に敵対するものには容赦がなかった。非情な諜報活動と国家戦略のせめぎあいの中、権力を手中にしていく。 主人公ウィルソンが寡黙なため、彼の感情の動きをクローズ・アップか小道具を動かすわずかな音や照明の陰影でとらえようとしている。その「間」を退屈と感じるか、繊細な描写と感じるか、で評価は分かれると思う。私は気に入った方だ。ちょうど「オーシャンズ13」を見、「ボーン・アルティメイタム」公開をひかえたマット・デイモンをじっくり見るつもりだったので多少ひいき目があるかもしれない。 キューバ危機を軸に、第2次世界大戦、戦後の冷戦を背景に、ウィルソンとソ連のエージェント「ユリシーズ」との20年間に渡る攻防を描いていく。 保護を願い出たソ連のスパイが実は贋者で、本物らしき別の人物が出現したエピソード。明らかに後から現れた人物が本物のスパイであると思われるのに、最初の贋スパイを肯定するかのような展開になっている。裏に理由があるのだと最後にはわかるのだが、納得できず甘さが出ていると思う。期待したアンジェリーナ・ジョリーは添え物のようなキャラクターだし、タルトゥーロも通り一遍。「1ドル札」のトリックが最後の最後にあっと言わせる。しかしそこまで3時間。確かに長かった。 心の奥に封印された少年の日の父の死の真相。妻マーガレットとの不毛な結婚、息子との確執。自分の感情を押し殺し、私生活を犠牲にしながら、心血を注いで作り上げた組織への不信感。私利私欲に走る高官。自分以外の誰も信じられないような猜疑心に囚われながら、彼はCIAにとどまり続ける。なぜならCIAは彼の作品であるからだ。
category : [Films] Screen 2007
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