スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ

Sukiyaki Western Django
観た日 2007-09-19

予告を見た限りでは「行かないな」と思った映画だった。なぜマカロニ・ウェスタンの体裁を借りる必要があるのだ。それをまたなぜわざわざ「ジャポネスク」で飾る必要があるのだ。

しかし封切り前の監督のインタヴューを読んでやはり見ておこうという気になった。記事には「源氏」「平家」「清盛」「義経」などというキーワードが上げられ、源平合戦のフィルターをかぶせたウェスタン、という図式が浮かんできたからだ。和洋の混淆、ということで自分でニナガワ的な世界を想像してしまっていた。ウェスタンの体裁を借りながら、源平のおどろおどろしい宿命をからませたストーリー。かつて蜷川組だった石橋蓮司や松重豊も出演する。まあ監督の過去の作品を見ればそんな思惑など抱きようもなかったのだが。

実際は源平時代、というより、敵対する2つの「組」に「源氏」「平家」とつけただけで、史実とはなんの関係もなかった。スケールはぐぐっと小さくなってしまった。ある時代のある村。そこに財宝を求めて集まってきたならず者たち。無法地帯と化した村で敵対する源氏(白組)と平家(赤組)。そこに流れ者の凄腕ガンマン(伊藤英明)が登場する。最後に生き残る主人公以外はすべて死ぬ運命。いかに死ぬか。いかに死なせるか、が腐心のしどころ。その死に様を見る映画だと思った。

映画好きにしてみれば笑える箇所があちこちにあって、実際冒頭からニヤニヤしながら見ていた。マカロニ・ウェスタンへのオマージュ(あるいはパロディ)、外国人が日本に対して抱くイメージやキーワード(スキヤキ・チャンバラ・サムライ・その他ジャパネスクな装飾・アート・文藝・卓袱台返しまで)を多用し、そこから派生するシチュエーション・ギャグを次々つなげていったような、数珠つなぎ長編コント。いま注目を集めるアキバ系・アニメ系・オタク系日本を随所にちりばめ、なおかつシェイクスピアなど登場させて欧米ウケをねらいつつ、サムライ・ニッポンのカッコ良さ・スタイリッシュな美意識も大いに披露。アナーキーなごった煮という感じだ。ひとつひとつの「コント」はむしろ凝っていて、俳優それぞれの見せ場があり、作り手はさぞかし楽しんだだろうと思う。撮影、セット、色彩設計、こってりと練り上げた、手ごたえがあった。

ところが細部の凝りようにくらべ、本編をぐーっと貫くはずのストーリーが単純で広がっていかない。プロットの運びも遅い。ディテールを見せるとその分話の運びがもたつき退屈を覚える。全編英語で、(俳優を慮ってか)セリフ自体非常に少ないので、間がもたないのだ。その間を埋めるために暴力描写が使われているような気がした。

監督の暴力描写は賛否あるが、ここではジョークと表裏一体になっている。あまりにもヴァイオレントなので肉体の痛みや死の悲惨を感じている時間もない。「北斗の拳」のヴァイオレンスと同じで、「お前はもう死んでいる」状態のエピソードが幾度となく繰り返される。次第に当初のノベルティは失われ、後半は「またか」と退屈のあくびがもれてしまった。

主役の伊藤英明の出番が少なくしかも押し出しが弱い。彼と、伊勢谷友介、そして佐藤浩市。この3人が三つ巴になってはじめて動き出すはずが、佐藤>伊勢谷>伊藤、というバランスになってしまった。義経役の伊勢谷友介は役得だった。クールなシーンはほとんど彼が独占。
category : [Films] Screen 2007
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listmark 三つ巴のバランスがくずれた理由
by good child
途中から桃井かおりのキャラクターが大きくなりすぎたせいもある。単なる居酒屋のババアにしておけばよかった。その得体の知れなさが最初はよかったのに。今、BBをやれる女優が日本にいるだろうか?木村佳乃も男映画での色気を担う役なのだが、「作為」がなくつまらない。精一杯、なのだ。

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途中から桃井かおりのキャラクターが大きくなりすぎたせいもある。単なる居酒屋のババアにしておけばよかった。その得体の知れなさが最初はよかったのに。今、BBをやれる女優が日本にいるだろうか?木村佳乃も男映画での色気を担う役なのだが、「作為」がなくつまらない。精一杯、なのだ。
by: good child | 2007/09/22 11:10 | URL [ edit ] | page top↑

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