バベル

Babel
観た日 2007-04-29

イニャリトゥお得意の、というか彼のスタイルとなった時間系列を入れ替えストーリーを巧妙にかみ合わせ、オーバーラップさせながら展開していく構成。緊迫したシーンからまた別の緊迫したシーンへと、見るものに短い息継ぎをさせながら、次第に緊張感を高めていく。
モロッコ・シークエンスでは、銃撃され重傷を負うアメリカ人ツーリスト、スーザンの生死。なんとか彼女を助けようとする夫リチャード。銃弾を放ったまだ幼い兄弟とその家族の運命。メキシコ・シークエンスではスーザンの子供たちとその乳母の運命。そして東京ではヤスジロウとその娘チエコの切れかかった親子の絆。

「喪失」に直面した彼らが、何を思いどう行動したか。映画はその運命を描きながら絶えず見るものに問いかけてくる。あなたはこれをどう思うか。あなたならどうするか。大切なものをなくすという瀬戸際になって、あるいはなくしてはじめて、その大切さ、かけがえのなさを知る。大切な人の手を離してはいけない。それを痛感した。

「バベル」というシンボリックなタイトルが素晴らしいと思う。モロッコの兄弟のエピソードは「カインとアベル」を思い出させるし、筆者には分からないが、旧約聖書の逸話などがかたちを変えて引用されているのかもしれない。

しかし、それぞれのエピソードが長い。その長さ=見るものを引き込もうとする時間、なのだろうが、途中ダレた。東京のトリップ〜クラブ・シーン、メキシコの結婚式シーンなど冗長。テーマ自体は新しいものではないので、そのタメの長さがつらいときがあった。あと10分そぎ落としていたらと思った。

チエコを演じた菊池凛子。ただならない強い目。女子高生にしては少々トウがたっているが。いともたやすく階段を踏み外していくチエコの危うさ、ファーザー・コンプレックス、孤独を躊躇なく演じていた。この人のコメディ演技を見たいと思う。

ガエル・ガルシア・ベルナルは顔見世程度。顔見世といえば、メキシコ−アメリカ国境の検問所の係官に『カポーティ』で殺人犯ペリー・スミスを演じたクリフトン・コリンズ・ジュニアが扮していた。特徴のある声。ちょっとウィレム・デフォーを彷彿とさせる。

そして音楽。印象的なギター・サウンド。 『ブロークバック・マウンテン』 のグスタヴォ・サンタオラヤである。ついでに撮影監督もロドリゴ・プリート、 『ブロークバック・マウンテン』 組である。オスカー作品に参加する、というのはこういうつながりを生んでいくのだなあとうれしくなってしまった。
category : [Films] Screen 2007
edit No.60 | trackbacks (0) comments (2)

COMMENTS OVERVIEW

listmark カット・ミス?
by good child
トリビアですが、ひとつ矛盾があるのです。

少年がバスを狙い撃ちするシーン。少年は向こうから来るバスを撃つのですが、そのときバスは右側面を見せつつこちらに向かって走ってきます。そこを少年は撃ちます。つまりバスの右側面ですね。ところが、撃たれたスーザンは左側の席に座っていて、バスの左側面から来た銃弾に撃たれるのです。これって矛盾してない・・・?右側面を狙って撃った弾がそれてバスの左側にあった岩か何かに当たり、それが跳ね返ってバス左側面ガラスを貫いてスーザンに当たった・・・わけ?

ずっと「違うよなあ」って思いながら見てました。

listmark 
by withnail
まず…、goodchildさん、トリビア本当だわ!映画制作のプロばかりなのに、全く気付かなかったのかしらん?監督さんより回答求めたし!

映画ですが…、『バベル』を見る前に『アモーレスペロス』を見たせいか、過度な衝撃を受けずに済んだみたい。

菊池凛子、確かにとうのたった高校生だった(笑)。それにしてもさらけ出したよなぁ、いろんなもの。どこかカンペキじゃないところに、何かほっとしたというか。

う〜ん怪物か…、実は今、桐野夏生の『グロテスク』を読んでいて、このストーリーも怪物ってのがキーワード。使われる意味合いは違うけど、圧倒される言葉だ。

個人的にはメキシコ人女優、アメリア役のAdriana Barrzaが良かった。優しい声が印象的。

ガエルくんは…、本当に出番少なかった(笑)。

自分をさらけだすことは、自分を分かって欲しいから。その思いが募れば募るほど、孤独を感じて、心を遮断してしまうこともある。だけど私もどれだけ人を分かっているのだろう…。

グスタヴォ・サンタオラヤの音楽は、本当に素晴らしかったです。いつまでも耳に残るギターサウンド。

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listmark カット・ミス?

トリビアですが、ひとつ矛盾があるのです。

少年がバスを狙い撃ちするシーン。少年は向こうから来るバスを撃つのですが、そのときバスは右側面を見せつつこちらに向かって走ってきます。そこを少年は撃ちます。つまりバスの右側面ですね。ところが、撃たれたスーザンは左側の席に座っていて、バスの左側面から来た銃弾に撃たれるのです。これって矛盾してない・・・?右側面を狙って撃った弾がそれてバスの左側にあった岩か何かに当たり、それが跳ね返ってバス左側面ガラスを貫いてスーザンに当たった・・・わけ?

ずっと「違うよなあ」って思いながら見てました。
by: good child | 2007/05/06 02:47 | URL [ edit ] | page top↑
listmark 

まず…、goodchildさん、トリビア本当だわ!映画制作のプロばかりなのに、全く気付かなかったのかしらん?監督さんより回答求めたし!

映画ですが…、『バベル』を見る前に『アモーレスペロス』を見たせいか、過度な衝撃を受けずに済んだみたい。

菊池凛子、確かにとうのたった高校生だった(笑)。それにしてもさらけ出したよなぁ、いろんなもの。どこかカンペキじゃないところに、何かほっとしたというか。

う〜ん怪物か…、実は今、桐野夏生の『グロテスク』を読んでいて、このストーリーも怪物ってのがキーワード。使われる意味合いは違うけど、圧倒される言葉だ。

個人的にはメキシコ人女優、アメリア役のAdriana Barrzaが良かった。優しい声が印象的。

ガエルくんは…、本当に出番少なかった(笑)。

自分をさらけだすことは、自分を分かって欲しいから。その思いが募れば募るほど、孤独を感じて、心を遮断してしまうこともある。だけど私もどれだけ人を分かっているのだろう…。

グスタヴォ・サンタオラヤの音楽は、本当に素晴らしかったです。いつまでも耳に残るギターサウンド。
by: withnail | 2007/05/31 21:47 | URL [ edit ] | page top↑

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