トゥモロー・ワールド

Children of Men
観た日 2006-11-18

イギリス制作主導の近未来SFと言えば 『28日後』 、最近では 『Vフォー・ヴェンデッタ』 などがあり、映画のテーマやストーリーよりもまず「ロンドン・ロケ」という言葉に吸い寄せられるように映画館に足を運んだ。今回も眼を皿のようにして映し出される街並みをスキャン、「ここはどこ?どこ?」状態であった。しかし話が展開していくにつれ、楽しいロンドン観光とはおさらば、悪夢のような人類の未来が映し出されていく。
一見現在となんら変わりない2027年、しかし人類は子供を作りだす能力を失い、18歳以下の子供が1人もいない、という絶望的な状況に陥っていた。それはつまり未来がない、ということ。希望がないということ。世界中が荒廃し、難民が続出するなか、イギリスでも不法入国者は容赦なく狩られ、収容所送りになっていた。一方で市民には抗うつ剤と自殺用薬剤は無料提供されるという末期的状態。元活動家でもある官僚のセオ(ドア)・ファロン(クライヴ・オーウェン)は元妻であり今は反政府地下組織のリーダーであるジュリアン(ジュリアン・ムーア)から若い女性の保護を頼まれる。彼女、キーは妊娠8ヶ月。人類にとっての希望と救いである赤ん坊を出産しようとしていたのだ。

長回しを使ったドキュメンタリー風の撮り方を駆使し、臨場感十分。後半の収容所シーン、戦闘シーンは特にリアル。戦争カメラマンが戦場に入り込んで撮ったような視点を生かした。もちろん映画は現実ではない、絵空事だ。しかしバーチャル・リアリティの中に入りこむことによって、リアリティでは見ることのできないものが見えてくる場合も確かにあると思った。激しい銃撃戦、砲撃されるビル、突入していく戦闘員、次々に銃撃され倒れていく人々。非英語圏の人びとがほとんどだから各地の紛争地域での市街戦はこんななのだろうと思った。コソボ・・・クロアチア・・・セルビア・・・アフガニスタン・・・イラク・・・東ティムール・・・レバノン・・・somewhere・・・anywhere・・・。命の誕生を待ち焦がれながら、一方でいとも簡単に命を奪う。

ストーリーはともかく、この映画を作った人たちの趣味が見え隠れしていてそれがおもしろかった。原作を読んでいないので、どれだけ原作に書き込まれているかわからないのだけど。

たとえば、マイケル・ケイン扮するヒッピー・コラムニスト、ジャスパー。彼がもうジョン・レノンなのだ。彼とジョンがまったく結びつかなかったのが不思議なくらい。ジョンが白髪のじいさんになったらこんなだろうなあという感じで、ジョンに遭えたようでうれしくなってしまった。マイケル・ケインもカン高い、あまり二枚目とは言えない声だけど、そういえばジョンもこういう高い声だったなあとインタヴューなど思い返す。ヘアスタイルこそ7・3分けだけれど(ジョンは真ん中分け)あの特徴ある丸眼鏡はまんま、ちょっとまがった魔法使い鼻だとか、うすい唇だとか。マイケル・ケインを使ったのはジョンを再現したかったからだとしか思えない。映画のメッセージはまさに「イマジン」だし。

クライヴ・オーウェンは少々やさぐれた元エリートという役柄、出ずっぱりで引っぱっていく。

ピンク・フロイドのアルバム「Animals」へのオマージュといい、ジョンといい、さらにバックの音楽といい(キング・クリムゾン、ストーンズ、レディオヘッド、ジョン、エトセトラ)かなりコアかつマニアックなロックファンらしいのが作り手の中にいる。それがアンテナにビンと来た。

シャンティ、シャンティ、シャンティ、である。
category : [Films] Screen 2006
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listmark ディラン
by Miki
それは子供の名前からも感じるね。
未来へ続く希望を託されたガール・ベイビーの名が
“ディラン”。
もともとはセスとジュリアンの息子の名だったんだけど。

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listmark ディラン

それは子供の名前からも感じるね。
未来へ続く希望を託されたガール・ベイビーの名が
“ディラン”。
もともとはセスとジュリアンの息子の名だったんだけど。
by: Miki | 2006/11/23 01:43 | URL [ edit ] | page top↑

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