●アイランド2005 / 07 / 27 ( Wed ) No. 1
Island
ユアン・マクレガー、いきいきしてたな。ま、美女と一緒だからね。しかも一本の映画で二つの役を演じることができたんだからお得。導入部とスティーブ・ブーシェミとのからみ、設計士とのからみがよかった。つまり、中抜け。クローンであるリンカーン・シックス・エコー(マクレガー)が同じ境遇のジョーダン・ツー・デルタ(スカーレット・ヨハンソン)と施設を逃亡し、LAにいる自分の母体に会いに行く。その間のチェイス・シーン、これが見ていてつらいのよ。ただのアクションなのよ。このシーン、「ボーン・スプレマシー」のカーチェイス・シーンとそっくり入れ替えてもOKってくらい、あるいは「マトリックス・リロ−デッド」でもいい。
そのつまらないアクション・シーンの間にモデルであるジョーダン母体が出ているカルバン・クラインのCMが流れるシーンがある。実際にスカーレットが出ているCKのCMをそのまま使っている。そして彼女の幼い「息子」とTV電話で話すシーン。ジョーダンはこの息子の「母」に臓器を提供するはずだった。「あの子私に似ていた」という彼女。一瞬自分が犠牲になって臓器を提供し、子供の母親を救おうとするのかなと思った。自分が死んでも心臓や肺は母親とともに生き続けることができる。・・・しかしそうは展開しない。
今回オートバイに乗ったり、レーシング・スーツを着て写真におさまっているユアン・マクレガーを見てスティーヴ・マックィーンを思い出した。J・ディーンも少し入ってるな。プラス、設計士役(ユアン・二役)のほうはあのめがねといいルックスがまるで「アルフィー」。もちろんマイケル・ケインのほうね、ジュード・ローじゃなく。役作りやってるね(笑)。美女とのからみもいいのだが、彼が一番良かったのはクローン母体である設計士、リンカーンとのからみね。これはユアンの二役だから、結局自分とのからみが一番おもしろいという倒錯したシチュエーションなんだけど。どうもユアン・マクレガーって宝のもちぐされって感じがするのだ。彼の実力の半分も生かされていないって感じ。オビ・ワンにしても「シャロウ・グレイヴ」「トレイン・スポッティング」から始まる彼のキャリアにしても、いつも100%やってないというか、100%出さなくてもできてしまう役というか・・・。 さてメリック博士のショーン・ビーン、ちょっとお年をめしたが、相変わらずのダンディぶりで堪能したね(笑)。彼もあまり演技は評価されず、そのルックスとイギリス男にはめずらしいワル系のセックス・アピールでハリウッド映画のあちこちに出演、本国イギリスでもマダムの高支持を得ている。しかし彼は英国王立演劇学校(RADA)出身。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーにも所属し、最近では「マクベス」の舞台にも立った本格派なのだ。ユアン・マクレガーはギルドホール演劇学校出身だし、イギリス役者は筋が入ってて器用。ユアンは劇中にも出てくる通りスコットランド出身、ショーン・ビーンはサウス・ヨークシャーはシェフィールド出身(彼のヨークシャーなまりは有名。もちろん標準アクセントも完璧。シェフィールド・ユナイテッドの熱狂的サポーターで刺青まで入れている)。私の脳みそに彼がインプットされたのはデレク・ジャーマンの「カラヴァッジオ」を見たときだった。ラヌッチオを演じた27歳の彼は実に美しく、愚かで、冷酷だった。あの目つきは変わっていない。 そうそう、「アイランド」の話だった。画像はデジタル?色調が60年代〜70年代のSF映画という感じに仕上げてあってレトロ。しかしクローニングと倫理という大きなテーマに近づきながら結局アクション映画になってしまった。おしいなあと思う。メリックという男が金持ちを相手に金と名誉だけのためにクローニングをやっているところが「善」と「悪」の単純な対立にしかすぎなくて、葛藤がない。クローニングは悪だという方向にしか働かないからだ。メリックが、「白血病の子供をなおせる日がくるんだ」というところで、たとえば彼が子供を白血病で失った父親であるとか、貧しい病気の人たちのためにも何かをやっているとか、そんなエピソードをちらりと入れたらどうだっただろう。それじゃお涙頂戴か?だが、少なくとも「必要悪」かもしれない、というところまで葛藤のレベルが上がったかもしれない。 ところでリンカーンがなくした片方の靴、あれはどうなったのだ?伏線かと思ったのに何でもなかった・・・。2人のユアン・マクレガーの掛け合いを見ていて、この2人のキャラで映画を作ったほうがおもしろいんじゃないかと思った。ある若い男とそのクローンの大冒険(笑)。 完全人体クローニングは(技術的にも)先の話だが、たとえば皮膚・骨・臓器組織の一部を培養する再生医療は近い将来もっと拡大していくだろう。どこで線引きをするのか、決断していかねばならない。
category : [Films] Screen 2005
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